加工上の違いについて
同じ魚を加工しても、その作り方が異なれば、出来上がった鰹節はまったく違ったものになります。その最たるものが「カビ付」といえるかもしれません。
カビ付した節
では、カビを付けると、味にどういう影響が出るかというと、ひとつに「カビが水分を吸い上げていき、より旨味が凝縮される」ことが挙げられます。より焙乾が進んでいけば、それだけグラム当たりの旨味の量は増えることになります。
また、カビの作用で鰹節中の脂肪分が分解されて脂焼けを防ぎ、口当たりをまろやかにする働きがあります。同時に、主に脂肪分に起因する「魚臭さ」も和らげる働きがあります。つまり、カビ付節の特徴は「上品で口当たりのまろやかな、旨味の凝縮した味」と言うことができるでしょう。
「枯節」
裸節に1〜3番カビ付けをしたもの(JAS法の定義では、2回以上カビ付けしたもの)。風味高いかつお節で幅広い料理に使えます。
「本枯節」
4番カビ以上を付けたもの。風味、旨みも絶品で幅広い料理に使われ、かつお節のなかで最高品といわれます。
カビ付をしてない節
カビ付しない「荒節」の方は、鰹節を燻したときの焙燻香が強く残っているため、カビ付節よりも香りが強いのが特徴です。
「荒節」「荒本節」
本節も亀節も、各身を煮熟、骨抜きし、焙乾(燻し)を何度も繰り返し、水分値が20%程度にまで乾燥された節のこと。表面には焙乾によるタール(抗菌性)が付着し、黒っぽい色をしています。この状態のものです。
「裸節」
荒節の表面に付着したタール(抗菌性)をグラインダーや手作業で、削りを行い形を整えた状態のものをいいます。カビ付けをする枯節を作る前段階で、タールを除去することによって、カビを生えやすくしているわけです。多少柔らかめの、しっとり感があります。
削り方
0.03mm ~ 0.06mm程度の薄さに削ったもの(日本農林規格の定義では0.2mm以下の片状に削ったもの)。だしに味と香りの両方を求めるときに使います。香り高く、上品なだしが取れます。だしの他にトッピング用としても重宝されています。一般的な飲食店やご家庭ではこのタイプ。
0.5mm ~ 1mm程度に削ったもの(日本農林規格の定義では0.2mmを超える片状に削ったもの)。濃厚なだしが取れるタイプです。そば・うどんの他、最近ではラーメンのだしとしても用いられます。
糸削り
糸状又はひも状に削ったもの。主にトッピング用。料理の飾りに使用され、高級食材です。
砕片(粉砕)
薄削りをさらに細かくしたもの。家庭用に3~5gのパックタイプで売られていることが多い。お好み焼きの上に乗せるなど、様々な料理のトッピングに使われます。
区分け
かつお 削り節
焙乾(ばいかん)工程を終えた「荒節」を原料としたもの。力強い香りとさっぱりした味わいが特徴です。かつお節削り節に比べると価格はリーズナブル。
かつお節 削り節
カビ付け工程を行った「枯節」を原料としたもの。カビ付け、日乾(天日干し)を繰り返したもので、まろやかな風味とコク深い味わいが特徴。高級料亭などで多く用いられます。